ソウルカフェ巡り（レトロ編）Vol.3｜「コーヒー韓薬房・恵民堂」 @明洞/乙支路

路地裏の大人気喫茶店？

昔からソウルの中心と言われてきた乙支路（ウルチロ）。現在の乙支路には、大きいオフィスビルが並ぶ都会的な風景と昼過ぎからお酒を飲む人たちで賑わう路地の風景が共存する。
道路沿いから一歩裏道に入ってみると、路地が果てしなく続き、その先には「コーヒー韓薬房（커피한약방）」が存在していた。

カフェと言うよりかは、喫茶店のようなレトロな雰囲気。
70年代の乙支路を思い出させる空間だ。

コーヒー韓薬房とヘミンダン

その二歩先向かい側には、「ヘミンダン（혜민당）」がある。コーヒー韓薬房とヘミンダンは一人のオーナーが運営している。
コーヒー韓薬房ではドリンクのみ、恵民堂ではデザートのみ販売しているため、各店舗でメニューをオーダーし、好きな店舗で一緒に楽しむことができる。

日曜はドリンクがタダで飲める

また、コーヒー韓薬房では“毎月末の日曜日”にドリンクを無料で提供しているという。

時が止まったようなアンティークな空間

1800年代後半を思い出させるヴィンテージの家具。テーブル、椅子、食器、全てに年期が感じられる。
乙支路の時間の流れと共に色んな人の思いが宿っているよう。

愛情を一杯。

コーヒーを頼むと、目の前でドリップしてくれる。機械は一切使わず、全て手作業で豆を挽き、コーヒーを抽出している。
真剣な眼差しでゆっくりと丁寧にコーヒーを入れる姿は、患者のために韓薬をつくる医師のようだ。

コーヒー韓薬房のドリンク

コーヒー表面の泡は、ハンドドリップならではのもの。一口飲んでみると、愛情とこだわりがじんわりと伝わってくる。
「フィルターコーヒー」は、適度な酸味と苦みがあり非常にバランスが良い。

そして、もう一つ気になっていた「ワインエイド」を頼んでみた。
酸味が甘味よりも目立つ。エイドよりレッドワインの味が強く感じる。爽やかな当たりと甘酸っぱさが暑い夏にぴったり。

ヘミンダンのデザート

コーヒー韓薬房のドリンクメニューは、“シンプルな美味しさ”にこだわっているらしく、個性的な恵民堂のスイーツとも相性が良い。
恵民堂のメニューからは、「アールグレイチョコレモン」と「フロマージュ桑の実」を注文。

一番人気のフロマージュ桑の実は、全体がクリームチーズで作られている。
中に入っているマルベリーとも呼ばれる“桑の実”ジャムの酸味がアクセントになっていて、飽きさせない。

フロマージュに次いで人気なメニューアールグレイチョコレモンは、チョコレートの食感と甘味、アールグレイの渋味と苦味が絶妙にマッチしている。

どちらも繊細な工夫がされていて、その人気も納得の味わいだった。

レトロのすゝめ

視野にも入りきらない程のオフィスビル群を抜けて、やっと見つけ出すことができるコーヒー韓薬房とヘミンダン。
お店内にある物、商品、そのすべてに愛情がこもっていて心地が良い。
インスタ映えするおしゃれなカフェも良いけど、たまには裏路地の昔懐かしい匂いを嗅いでみるのも良さそう。